中部イノベネット「産業技術の芽」シーズ発表会 in 名古屋(第26回名古屋駅前イノベーションハブ技術シーズ発表会)
12:30〜12:45
- 実用化が期待される新規高性能吸放湿材料
-
(独)産業技術総合研究所 中部センター イノベーションコーディネータ 渡村 信治 氏
産総研では、相対湿度40%から70%の範囲で吸放湿能力が優れた新規高性能吸放湿材料を開発した。この材料は人が快適に生活できる環境(中湿度域)での調湿能力が珪藻土の数倍もある。量産化と低価格化を実現することで、高性能調湿建材や低温再生型デシカント空調用吸着剤としての応用が期待できる。
12:45〜13:00
- 急増する室内熱中症から高齢者を守るには
-
静岡県工業技術研究所 工芸科 科長 櫻川 智史 氏
近年、高齢者が夏の暑い時期に、屋外に限らず室内で熱中症になるケースが急増している。熱中症の発生率と相関が高いとされるWBGT(湿球黒球温度)を、相対湿度と気温により精度良く予測する方法を開発した。また、それを用いた熱中症警報システムを開発した。
13:00〜13:15
- 木材の環境に優しい無機系防腐防蟻処理
-
富山県工業技術センター 中央研究所 評価技術課 課長 岩坪 聡 氏
木材の組織に適するように高圧ジェットミルにより粒径制御した金属微粒子を主成分とする木材注入用防腐防蟻処理粒子液を作製した。これにより木材の道管内部への銅系微粒子の深い注入処理が可能になり、優れた防腐防蟻処理効果を得ることができた。
13:15〜13:30
- 常温圧縮せん断法を用いた成形技術
-
信州大学 工学部 機械システム工学科 准教授 中山 昇 氏
金属粉末に常温,大気雰囲気中で圧縮応力とせん断荷重を同時に負荷することで高強度な薄板が成形可能な加工方法を開発した。室温で固化成形可能なので熱に弱い機能性材料を金属中に分散することも可能である。
大学の設備を利用した課題解決の取組み
〜文部科学省ナノテクノロジープラットフォーム〜
開発・製造のグローバル化に伴い、製品開発のサイクルはますます短くなり、企業においては開発コスト削減や開発時間短縮が求められております。また、企業の要求される技術レベルもますます高度化・複雑化され、企業の抱える技術課題も一層高度化、複雑化が進んでおります。こうした状況を企業内で解決することは重要であるが、設備や研究者のノウハウという「外部のリソースを活用する」と手段も用意されていることや、それらをすでに活用されている企業があることをこのセミナーでは紹介いたします。
製造トラブルを抱えている現場の担当者や、製品開発の課題を抱えている開発研究者、製品開発や装置導入を判断するマネジメント職の方々にとって、少しでもお役に立ててもらいたいと考えております。
14:00〜14:40
- 材料表面を劣化させない新窒化法の開発〜アトム窒化法〜
-
豊田工業大学 特任教授 原 民夫 氏
鉄鋼材料の窒化処理は熱処理変形が少なく、浸炭焼入れよりも高い表面固さが得られることから、耐摩耗性が要求される摺動部品・金型などに無くてはならない表面処理技術である。しかし、通常のガス窒化やイオン窒化では表面に窒化物層が形成され表面粗さも増大する。我々は大電流電子ビームにより生成した高濃度の窒素原子雰囲気の中で窒化処理を行う「アトム窒化法」を開発した。この窒化法は窒化物層の生成が無く、表面粗さを増大させない新しい光輝窒化法である。窒素原子は再結合して窒素分子に戻るまでの時間が長いので、狭いスリットや穴の内面の窒化に有利である。また、プラズマとワークの間に大きな電位差をかける必要がないため、コーナー部などの鋭利な部分も平坦な面も同様に窒化が進行する特徴を持っている。本講演では、アトム窒化の原理、窒化特性、複合硬化処理および適用例などを紹介する。
14:40〜15:00
- 名工大支援成果「単結晶SiCの曲面CMP加工による新規切削工具の開発」
-
ビーティーティー(株) 代表取締役社長 青木 渉 氏
量産加工のための刃物開発を前提に、一般的な旋盤加工に用いられる超硬刃物を台座として、SiC刃具開発に成功した。SiC単結晶は、市販の研磨砥粒を用いてCMP加工すると、単結晶方位に依存した加工速度のために、曲面は勿論のこと、不定方向の直線に囲まれた頂角を有する刃先を形成することが出来ない。そのため、新規加工砥粒を開発し、名古屋工業大学が有する空気浮上型CMP加工機を用いて刃先のCMP化を実施した。
15:00〜15:30
- 名大支援成果「世界で初めて溶出順序を自在に反転できるキラルカラムの開発に成功」
-
名古屋大学大学院 工学研究科 物質制御工学専攻 博士研究員 下村 昂平 氏
高速液体クロマトグラフィーによるエナンチオマーの分離(光学分割)は,光学活性化合物の分取・分析の両方に有効であるため,医薬品の開発研究等の分野において極めて重要な技術になっている.本研究では,固体状態でらせんの巻き方向を自在にスイッチさせることができるらせん高分子を開発し,これを光学分割カラム用充填剤に応用したところ,エナンチオマーの溶出順序を初めて自在に制御することに成功した。
15:30〜16:00
- 分子・物質合成プラットフォームと利用成果の事例紹介
-
自然科学研究機構分子科学研究所 特任専門員 金子 靖 氏
分子・物質合成プラットフォームでは、ナノテクノロジーに関する分子合成や物質作成に関する支援と作成した物質や持ち込まれた材料の評価・測定に関する支援を行い、全国11の大学や研究機関で、これまでに約850件の依頼に対応してきた。今回はその中からいくつかを実施機関の支援概要とともに紹介する。