金属3Dプリンタの材料科学と企業における応用事例
10:30〜11:30
3Dプリンタで造形した金属材料の特徴とラティス構造体の応用
レーザによるPBF法で造形した金属材料の力学的・熱的性質
名古屋大学 大学院工学研究科 教授 小橋 眞 氏
金属3Dプリンタは、複雑形状の造形が可能であり、部品点数の削減や製造工程の集約が期待できるというメリットを持つ成形方法であり、現在、様々な手法が開発・提案されている。本講演では、レーザを用いた粉末床溶融(L-PBF)法により造形した金属材料の微視組織と材料特性(強度と熱伝導率)、および、それらに及ぼす熱処理の影響を紹介する。また、3Dプリンタで造形できる規則的格子構造(ラティス構造体)の力学的性質や適用が期待できる応用分野について説明する。
11:30〜12:00
金属粉末積層造形を用いた3次元冷却金型のアルミダイカストへの適用とその課題の紹介
(株)豊田自動織機 コンプレッサ事業部 アルミ技術部 鋳造第一室 室長 佐藤 良輔 氏
アルミダイカスト工程における金型起因の稼動阻害要因として、金型高温部にアルミが焼き付くことにより発生する「磨き作業による停止」がある。また逆に金型低温部では溶融アルミの流動性が悪化し、外観不良や内部品質不良が発生する。従来はドリル加工にて金型に水冷孔を設け金型温度を制御してきたが、設計自由度が低く両不具合の根絶は難しかった。今回は、金属3Dプリンタ(金属粉末積層造形法)により3次元冷却回路を有する金型を製作し、金型の冷却強化と冷却緩和という相反する要求について解決し生産性を向上したのでその事例と、金型製作時およびダイカスト量産使用中の当社での困り事とその対策事例について紹介する。
NCC次世代複合材研究会におけるCFRPの最新加工・計測技術
共催:名古屋大学ナショナルコンポジットセンター
10:30〜11:15
熱可塑性樹脂複合材料(CFRTP)の自動車構造材への適用について
名古屋大学工学 研究科 教授(ナショナルコンポジットセンター センター長) 荒井 政大 氏
本講演では、名古屋大学ナショナルコンポジットセンター(NCC)にて製作された非連続繊維型の熱可塑性樹脂LFT-Dによる自動車シャーシの開発事例を紹介する。ロービングから直接供給される炭素繊維と樹脂を二軸混錬押出機により直接混合し、得られたCFRTP基材を高圧プレス機によって成形することによって成形品を得るプロセスについて紹介するとともに、各部材の接合技術、X線CTなどによる材料評価技術についても紹介する。
11:15〜11:25
進展性損傷解析ソフトウェアGENOA/MCQによる最新シミュレーション事例の紹介
(株)アドバンストテクノロジー
11:25〜11:35
画像処理によるFRP内部単繊維構造解析と機械学習の画像解析への応用
ThermoFisher Scientific 日本エフイー・アイ
11:35〜11:45
熱可塑性CFRTPの溶着・接合技術のご紹介
精電舎電子工業(株)
11:45〜11:55
400℃以上高温対応・2次加工可能な離型剤の紹介
中京化成工業(株)
11:55〜12:05
耐摩耗性の優れた混錬工具および工業用刃物
冨士ダイス(株)
異種材料接合技術の最新動向 〜CFRPの接合技術について〜
共催:(公財)科学技術交流財団
13:00〜13:40
平成30年度特許出願技術動向調査 樹脂素材と異種素材との接合技術
特許庁 審査第三部 素材加工 審査官 関口 貴夫 氏
特許庁で実施している特許出願技術動向調査では、特許情報にもとづき、日本の産業が優位にある分野、あるいは日本が劣位にある分野等について分析を行っており、企業の研究開発戦略において大変有用な情報であると考えられます。本講演では、樹脂素材と異種素材との接合技術、特に自動車分野を中心に、様々な要素技術の特許出願動向について俯瞰的に解説します。
13:40〜14:20
ポジティブアンカー効果による金属とCFRPの直接接合
輝創(株) 代表取締役 前田 知宏 氏
金属表面に隆起微細構造を形成することにより、一般的な金属表面微細構造では接合が困難な金属とCFRTPの直接接合において、強固な接合を実現する「ポジティブアンカー効果による異種材料接合技術」について解説します。ポジティブアンカー効果は強固な接合強度を実現するだけでなく、様々な表面処理技術との組み合わせが可能であり、用途や目的に合わせた接合を得ることが可能な接合技術です。
14:20〜15:00
超音波溶着によるFRTP接合技術
岐阜県産業技術総合センター 次世代技術部 主任専門研究員 西垣 康広 氏
超音波溶着技術により、マトリックス樹脂が結晶性樹脂であるFRTPと非結晶性樹脂であるFRTPの同種材接合と異種材接合について、溶着条件と溶着強度など接合状態の優劣の関係を紹介します。
産業技術総合研究所中部センター研究講演会
共催:産業技術総合研究所中部センター
13:00〜13:05
開会挨拶
産業技術総合研究所中部センター 所長 淡野 正信 氏
13:05〜13:45
招待講演
二次電池技術開発について
三重大学 名誉教授 武田 保雄 氏
リチウムイオン電池(LIB)が市販されて30年弱、ようやくノーベル賞の受賞に至って大変喜ばしい。この間の二次電池分野の研究開発の進歩は目覚ましく、20世紀では単なる機器の補助的な位置にあった二次電池が、21世紀では持続可能な社会の実現に大きな役割を担う主役に躍り出た。しかしそれでも現行のLIBでは役不足で、より高い性能の電池が求められている。それらの候補としてリチウム空気電池、全固体電池、ナトリウムイオン電池、多価イオン電池など、様々なタイプの二次電池が提案され、盛んに研究がされている。演者は過去、材料化学の観点から様々な電池材料を扱ってきた関係上、これらポストリチウムイオン電池とし注目されている次世代電池について、材料開発の観点から現在の開発動向と将来を展望したい。
13:45〜14:00
研究講演1
生活空間のニオイモニタリング
〜妨害ガスがあってもニオイを識別できるセンサアレーを開発〜
無機機能材料研究部門 電子セラミックスグループ 研究グループ長 増田 佳丈 氏
モビリティ、ヘルスケア、食料、流通、製造等の様々な分野において、ニオイや特定ガスの自動認識に対する期待が高まっている。特に、生体ガスなどの微小量ガス検知や、多様なノイズガス成分中での識別、湿度等の影響因子下でのセンシングなど、様々なニーズへの解決策が求められている。本発表では、産総研電子セラミックスグループにおける取り組みとして、各種ガスセンサの開発や、センサーアレーを用いたニオイの識別技術(2019年プレス発表)を含めた、ガスやニオイのセンシングに関わる研究開発を紹介したい。
14:00〜14:15
研究講演2
温度によって調光する二酸化バナジウム(VO2)ナノ粒子の高速合成
構造材料研究部門 光熱制御材料グループ 主任研究員 岡田 昌久 氏
二酸化バナジウム(VO2)は、温度によって近赤外光域の光学特性が変化するサーモクロミック特性を示す。我々は、結晶性が優れた小径VO2ナノ粒子を高速合成する技術を新たに開発した。このVO2ナノ粒子の分散液を透明樹脂フィルム上に塗布したサーモクロミックフィルムは、高い可視光透過特性と大きな近赤外調光特性が両立され、当該研究分野での世界のトップデータと同等の性能を示した。これを次世代自動車の窓部に適用することにより、視認性を確保しつつ、夏には日射の“ジリジリ感”を遮断し、冬には“ポカポカ感”を取り入れる新規のスマートウィンドウが実現でき、年間を通した快適性向上と冷暖房負荷低減が期待される。
14:15〜14:30
研究講演3
VR/ARディスプレイ向け高効率GaNマイクロLEDの開発
窒化物半導体先進デバイスオープンイノベーションラボラトリ GaN光デバイスチーム ラボチーム長 王 学論 氏
寸法10µm程度の微小な半導体LEDを高密度に配列したマイクロLEDディスプレイは、次世代のウェアラブル型情報機器のための高輝度・高解像度のディスプレイとして大きく期待されている。その実現のためには、発光効率が高く、高密度配列しても画素同士の光のまじりあいのない革新的マイクロLEDが必要不可欠である。当チームでは、特にVR/AR応用向けの有望なデバイスとして指向性を持つGaNマイクロLEDを提案し、その開発を進めている。本講演では、指向性GaNマイクロLEDの原理を説明するとともに、最新の開発状況について紹介する。
14:30〜14:45
研究講演4
融けずに固体のまま熱を溜める・加工ができる高密度蓄熱部材の開発
磁性粉末冶金研究センター エントロピクス材料チーム 研究チーム長 藤田 麻哉 氏
蓄熱技術は従来捨てられていた熱を蓄え、有効利用する方法であるが、中でも、相変化に伴う熱の出入り(潜熱)を用いた材料では、大きな蓄熱密度を達成できる。しかし、従来の相変化型蓄熱材は、ほぼ全てが溶解(固―液)型の相変化を利用しており、部材形成が不可能であった。相変化は原子分子の状態変化に限らず、固体中の電子やスピンの相変化により大きな潜熱変化を示す場合がある。
我々は、電子相変化潜熱が大きな典型物質である二酸化バナジウムに注目し、電子状態を妨げることなくバルク化する焼結技術を開発し、堅牢性と高蓄熱密度を両立する固体蓄熱部材を実現した。
14:45〜15:00
研究講演5
電子顕微鏡による原子の直視
無機機能材料研究部門 テーラードリキッド集積グループ 上級主任研究員 劉 崢 氏
ナノ機能材料の物性を正確に理解するためには、原子レベルでの構造と物性との相関の詳細を明らかにする構造解析技術が不可欠である。現在、局所的な構造と状態を知るためには透過電子顕微鏡法の活用が最も有用であり、特に近年急速に進歩した収差補正走査透過型電子顕微鏡法であれば、原子スケールでの構造・状態が解明できる。ここでは産総研中部センターに保有のダブル収差補正走査透過電子顕微鏡で得られた幾つかの最新の研究成果を紹介する。
「NO.11」は申込フォームが他と異なります。
「セミナーを申し込む」ボタンをクリックするとメールが立ち上がりますので、「2020産総研中部センター研究講演会に参加希望」と明記の上、お名前とふりがな、所属(会社名・団体名など、部署、役職)、住所、電話番号、電子メールアドレスを記入して送信してください。
14:05〜14:50
株式会社キッツの水素ステーション関連商品の開発について
(株)キッツ CLESTEC開発グループ 緒方 邦行 氏
(株)キッツが水素ビジネスへ参入した経緯と、その結果得られた成果・メリットとは?自社工場に水素ステーションを建設し、今後も水素関連事業の拡大・開発を進めていく狙いとその取り組み内容について、具体的に紹介する。また、現在水素ステーションで採用されている「CLESTECシリーズ」について、その開発過程での苦労話を交えながら、製品の特徴を紹介する。
14:50〜15:35
精密ゴムを用いた水素ステーション関連産業への展開
石工業(株) 代表取締役 石 秀之 氏
創業以来70年、水栓機器・ガス機器・エアポンプなどの精密ゴムパッキン・Oリング等を得意としてきた当社が、いかにして畑違いの水素ステーション関連産業に参入できたのか。水素ステーションの-40℃・70Mpaの条件に耐えうる耐高圧水素ゴム材料を開発した経緯や、国内外のステーションで採用されるようになったいきさつ、そして現在の取り組みと今後の展望を紹介する。
フロンティア21 エレクトロニクスショー2020
テーマ:自動運転
自動運転の民主化 Autowareの世界
共催:中部エレクトロニクス振興会
名古屋大学 未来社会創造機構 モビリティ社会研究所
特任教授 二宮 芳樹 氏
自動運転による交通革命の実現が期待され、現在は社会実装に向けた活動が盛んです。自動運転の普及には安全で安価な技術が必要になりますが、そのためのアプローチであるオープンソースソフトウェアAutowareについて紹介します。
フロンティア21 エレクトロニクスショー2020
テーマ:クルマの電動化
トヨタのチャレンジ〜EVの本格普及を目指して〜
共催:中部エレクトロニクス振興会
トヨタ自動車(株) トヨタZEVファクトリー 副本部長 豊島 浩二 氏
2019年6月7日 電動化戦略ミーティングにて我々は、EV戦略について発表しました。我々が指すのは、移動や物流など様々なサービスに対応し、人々の暮らしを支える「新たなモビリティ」を提供すること。そして、社会課題を解決し、かつ、地球環境を守っていくのが狙いです。そのためには、多くの人たちとこれからも一緒に協力し、未来に向かって第一歩を踏み出さないといけません。そのための仲間づくりをトヨタはこれからも拡大していくつもりです。
”自動車をつくる会社“から”移動に関わるあらゆるサービスを提供するモビリティ・カンパニー“への変革を目指し、今回、様々なEVによって、これからのモビリティ戦略についてお話しします。