「アルミニウムのリサイクル」
主催:(一社)軽金属学会 東海支部
軽金属学会の紹介
軽金属学会 東海支部長、(株)UACJ マーケティング・技術本部 R&Dセンター 基盤研究部 主幹 田中 宏樹 氏
一般社団法人軽金属学会はアルミニウム・マグネシウム・チタンなどの「軽金属に関する学術・技術の進歩発展を図り、工業の発展に尽くす」ことを目的として、1951年(昭和26年)に発足した軽金属に関する我が国唯一の学術団体です。これらの目的を達成するために以下の6項目の具体的活動を実施しています。
(1) 研究会、学術講演会等の開催, (2) 国内外における研究協力・連携の推進, (3) 学会誌、学術図書等の刊行, (4) 研究及び調査の実施, (5) 研究の奨励及び研究業績の表彰, (6) その他、本学会の目的を達成するために必要な事業
講演会では東海支部を中心に、これらの活動をご紹介します。
脱炭素社会構築におけるアルミニウムリサイクルの役割と可能性
東京工業大学 物質理工学院 特任教授/名誉教授 熊井 真次 氏
CO2をはじめとする温室効果ガス(GHG)排出量の大幅な削減、脱炭素社会構築におけるアルミニウムの役割と可能性について、アップグレードリサイクルによるアルミニウム高度資源循環システム構築への取組みを中心に紹介する。従来のカスケードリサイクル、水平リサイクルに加え、アルミニウムスクラップを再生展伸材として利用できるようにするアップグレードリサイクルが実現できれば、GHG排出量削減に多大な貢献をすることが可能である。これは展伸用、鋳造用という垣根を越えたバリアフリー合金の開発や、アルミニウムスクラップを取り扱うリサイクラーや二次合金メーカーの新たな事業展開にも繋がると考えられる。
アルミニウム合金リサイクルに対する大紀アルミの取り組み
(株)大紀アルミニウム工業所 技術部 本間 新平 氏
アルミニウム合金地金の製造で排出されるGHGは、リサイクル材を用いることで新地金製造に対して約3%と大幅に削減することができる。本講演では当社が行っている、アルミニウム合金製造におけるリサイクル材の使用を増やし、GHG排出量を削減する取り組みを紹介する。
アルミニウムスクラップの固相選別技術
(国研)産業技術総合研究所 環境創生研究部門
資源価値創生研究グループ 客員研究員 古屋仲 茂樹 氏
アルミニウムスクラップに含まれる展伸材と鋳造材を合金系別に最少エネルギーで固相選別できれば、溶解工程に投入するスクラップに含まれる元素成分が安定化し、後工程の効率化に繋がる。また不純物を多く含むスクラップを除去し、有用元素を多く含むスクラップをそれぞれに適した合金へ再生することで、理想的な循環プロセスを構築できる。本講演では、アルミニウムスクラップの固相選別技術として現在有力視されている「レーザー誘起プラズマ分光(LIBS)ソータ」及び「AI画像認識ソータ」の開発について、講演者らの取り組みを紹介する。
溶解プロセスを用いたアルミニウム中不純物元素除去技術
(国研)産業技術総合研究所 マルチマテリアル研究部門
軽量金属プロセスグループ 主任研究員 村上 雄一朗 氏
アルミニウムはリサイクル性が高い一方、現状ではマテリアルフローにおいて不純物元素が混入するため、元素許容範囲の広い鋳造材へカスケードリサイクルが主流である。一方で、今後需要の大きな増加が見込まれる展伸材へリサイクル材を利用できるようにするため、水平・アップグレードリサイクル技術が求められている。現在NEDO事業として行っているアルミニウム素材高度資源循環システム構築事業では、アルミニウムスクラップ中に含まれる不純物元素を除去する技術として、溶解・凝固プロセスを利用した分別結晶法の開発を進めており、その概要と最近の成果について紹介する。
縦型高速双ロール鋳造によるアルミニウム中不純物元素無害化技術
(株)神戸製鋼所 アルミ・銅事業部門 真岡製造所
アルミ板研究部 材料加工研究室 主任研究員 正田 良治 氏
現在、鋳物合金にカスケードリサイクルされているアルミニウムリサイクル材を、既存の展伸材と同等の特性を持つ再生展伸材として利用し、循環利用する高度資源循環社会の構築が求められている。そのためには、リサイクル材の不純物を無害化し、既存の展伸材と同等の特性を持つ再生展伸材の開発が必要である。 縦型高速双ロ-ルの急冷凝固を利用して、不純物が多く鋳物組成に近いリサイクル想定合金の機械的特性を汎用成形用展伸材として使用できるレベルに向上させることを目指しているNEDOプロジェクトでの取り組みについて紹介する。
高圧スライド加工による高強度リサイクルアルミニウム材の開発
(株)UACJ マーケティング・技術本部
R&Dセンター 基盤研究部 材料基盤研究室 原 聡宏 氏
自動車のスクラップなどからリサイクルされるアルミニウム合金は、従来の展伸材用合金と比べて不純物が多く、展伸材用合金と同等の加工熱処理方法での製造では性能が劣るため、展伸材と同等以上の性能を引き出す製造手法の確立が課題となっている。本研究では、リサイクルで想定される組成のアルミニウム合金を作製し、その合金に対して高ひずみ加工の1種である高圧スライド加工を実施し、展伸材と同等以上の強度・延性を引き出す加工条件を検討した。
NO.7
会場:吹上ホール内脱炭素社会を考えるひろば
脱炭素社会を考えるひろば
「カーボンニュートラルの視点からみた製品展開のあり方」
(独)中小企業基盤整備機構 中部本部 中小企業アドバイザー 南山 賢悟 氏
カーボンニュートラルの取り組みを進める上では、自社の製品およびサービスを軸に、カーボンニュートラルの視点からどのように展開していくかを考えることが大切です。自社のビジネスモデル、製造プロセス、今後の生産体制等について検討し、いかにして販路開拓につなげていくかについてお話します。また、本セミナーでは、いくつか事例についてもご紹介し、具体的にどのような取り組みをすると、より効果的にカーボンニュートラルを推進できるかについてご説明いたします。
NO.8
会場:吹上ホール内脱炭素社会を考えるひろば
脱炭素社会を考えるひろば
「サーキュラー・ビジネスが愛知を救う!」
講演
(公財)あいち産業振興機構 統括マネージャー 大槻 博司 氏
パネルディスカッション
〔パネリスト〕
(有)位田モータース 社長 位田 幸司 氏
(株)INUI 取締役 大野 大輔 氏
河田フェザー(株) エシカルダウン推進室 室長 恋塚 昭光 氏
〔ファシリテータ〕
(公財)あいち産業振興機構 統括マネージャー 大槻 博司 氏