名古屋レーザ・フォーラム2019
レーザ加工におけるセンシング及びモニタリング
共催:中部レーザ応用技術研究会
▼お申込み上のご注意
・資料が必要な方はNO.1でお申し込みください。(資料代4,000円は当日支払になります。)
・資料が不要な方はNO.2でお申し込みください。
10:30〜10:35
開会のあいさつ
中部レーザ応用技術研究会 会長 沓名 宗春 氏
10:35〜11:25
基調講演 レーザ溶接時のセンシング、インプロセスモニタリングおよび適応制御
大阪大学 名誉教授 片山 聖二 氏
レーザ溶接時のセンシングに関連して、シームトラッキングの現状を紹介する。次に、インプロセスモニタリングおよび適応制御に関連して、レーザ溶接現象と熱放射光信号との関連性を紹介する。最後に、OCT法とそれによるキーホール深さの計測結果について報告する。
11:25〜12:10
講演2 レーザ加工技術開発のためのモニタリング技術
前田工業(株) 商品開発部 鳥越 功 氏
従来、暗黙知であったレーザ加工中の加工現象を可視化し、これを定量的に数値化、解析及び制御する事で、レーザ加工におけるマネジメントとそのコントロールが格段にやり易くなった。加工現象のビッグデータとその品質結果の相関関係はデジタルデータとして記録・蓄積され種々の「予測」につなげる事も可能となるであろう。ここでは前田工業がレーザ加工の工法開発において実際に取り組んでいるモニタリング技術について紹介する。
13:00〜13:35
講演3 ICI技術によるインプロセスモニタリングの実現
IPGフォトニクスジャパン(株) アプリケーションラボ 住森 大地 氏
IPGは「ファイバーレーザを大量生産における工具へ」というミッションをもとに、様々なアプリケーションに対応するファイバーレーザ発振器・ビームデリバリ・周辺機器を開発しユーザへ提供している。その中、高速・高精度にモニタリングするICI (Inline Coherent Imaging)技術を新たに開発することで、工具として必要な加工状況の可視化を可能にした。今回はその技術と開発内容を紹介する。
13:35〜14:10
講演4 IDM(In-process Depth Meter)の最新状況と適応事例の紹介
プレシテック・ジャパン(株) 代表取締役 牛山 直幸 氏
溶接中にキーホールの深さを実測する製品であるIn-Process Depth Meter (IDM)の最新状況と自動車産業への適用事例、およびIDMを用いたその他アプリケーションでの検討事例・適用事例について紹介する。
14:10〜14:45
講演5 溶接場リアルタイム計測システムの事例紹介
(株)ノビテック 画像計測システム部 営業統括兼名古屋営業所所長 水嶌 孝明 氏
レーザー溶接、アーク溶接における様々な加工中の可視化用途に開発された高繰り返しパルスレーザー照明をベースとした溶接不具合原因の条件出しのための、1.溶接場可視化からの画像処理、2.シールドガス可視化システム、3.DICひずみ量計測システム、4.溶接場リアルタイムモニターシステム、5.溶接場リアルタイム計測システムなどに併せて、6.2色法溶融池温度計測システム を使った適用事例を紹介します。
15:00〜15:35
講演6 溶接アプリケーション用ロボットレーザビジョン技術の発展
サーボロボ・ジャパン(株) 開発技術室長 野俣 拓也 氏
サーボロボ社のトラッキング用及び検査用レーザセンサシステムの紹介及びレーザプロセスモニタリングシステムの紹介として、サーボロボ社のレーザセンサシステムの概要及び適用事例の説明を行なう。また、昨今増加傾向にある多関節ロボットを用いた溶接に対してレーザセンサシステムの適用並びに、レーザ溶接/ブレージングの高機能化及び品質管理への貢献について説明する。
15:35〜16:10
講演7 医療用OCT技術の産業応用
Santec(株) 光画像センシングユニット開発Grマネージャ 土井 岳人 氏
OCTとは(Optical Coherence Tomography(光干渉断層撮影)の略で、光の干渉を用いて非接触・高分解能・高速に内部構造を画像化することが可能な技術である。近年、眼科の緑内障や加齢黄班変性などの診断に広く用いられている技術である。当社では、高速性・高分解能・高深度を可能にするSS-OCT用光源及びOCTシステムの開発を行いる。本講演で、その技術とレーザ加工のモニタリングへの応用について紹介する。
16:10〜16:15
閉会のあいさつ
中部レーザ応用技術研究会 副会長 青柳 光 氏
3Dプリンター活用セミナー
3Dプリンターを活用しよう!! わかりやすく説明 3Dプリンターの長所と短所
(有)中山木型製作所 上原 誠 氏
3Dプリンターを使った出力サービスをしている中山木型は、全国から様々なお問い合わせをいただきます。材料・予算・個数・使用目的など条件によって、使う3Dプリンターを選択し作成しています。本講演では、3Dプリンターの長所と短所をわかりやすく説明し、便利な3Dプリンターの活用方法をご提案します。出力サービスを使ってみたい方、導入を検討されている方、購入したけど持て余している方におすすめです。
第66回プラズマが拓くものづくり研究会(PLAM)
次世代自動車を実現する材料とプラズマ技術
共催:(公財)名古屋産業振興公社 プラズマが拓くものづくり研究会
名古屋市工業研究所のプラズマに関する技術支援
名古屋市工業研究所 プロジェクト推進室 室長 山田 範明氏
名古屋市工業研究所が(公財)名古屋産業振興公社と連携して実施している、大気圧プラズマによる樹脂や金属の表面処理などのプラズマに関する技術支援についてご紹介します。
自動車用樹脂材料の動向およびプラズマへの期待
トヨタ自動車(株) 第1材料技術部 有機材料室 室長 稲浪 宏志 氏
自動車業界は「100年に一度の大変革期」に直面しており、クルマの変革とともに、それを支える材料も変革が求められています。本公演では、自動車における樹脂材料の現状および将来動向を説明するとともに、その中でプラズマ技術に対する期待を紹介します。
自動車の軽量化・製造工程の改善に寄与する、大気圧プラズマユニット
「Tough Plasma ®」 による接着・接合の表面改質技術
(株)FUJI RS事業本部 技術開発部 第3課 課長 神藤 高広 氏
車載部品への熱可塑性樹脂材料及び複合材料の適用が進む中、高品質な接着・接合技術は欠かせません。大気圧プラズマユニット『Tough Plasma ®』は、材料に熱ダメージを与える事なく、安定した表面改質を実現します。本講演では、大気圧プラズマによる表面改質の原理から、活用方法、各種材料の表面改質の効果事例をご紹介いたします。
13:00〜13:45
航空機部品加工の概要 〜 加工歪対策の実際 〜
三菱重工(株) 民間機事業部 マネージング・エキスパート 鈴木 博 氏
航空機は空を飛ぶという性質上、その部品は軽量且つ必要な強度を有する事が必須であり、そのため特に機械部品は薄肉化、複雑形状化、高精度化が求められる。 しかしながら加工後に歪が発生する事が多く、加工現場では歪対策で苦労している。 本稿ではまずはじめに航空機部品加工の概要を述べ、次いで歪の原因の1つである残留応力の低減策とその効果について紹介する。 更に多くの航空機機械部品に適用されているショットピーニングについても歪の出にくい方法を紹介する。
13:45〜14:30
超高強度アルミニウム材料の開発
(株)UACJ R&Dセンター 第一研究部 上席主幹 戸次 洋一郎 氏
高強度アルミニウム材料は、戦前、日本で開発された超々ジュラルミンが一つの到達点であり、現在もこれを改良した各種7000系材料が使用されている。その中で、欧米ではより比強度、比剛性が高いAl-Li合金を開発し、実用化しているが、日本では特殊な溶解、鋳造設備が必要なAl-Li合金は量産されておらず、本分野での競争力低下が危ぶまれていた。そこで2014年に国プロ「革新的新構造材料等研究開発」の中で7000系合金の極限を狙う「高強度・高靭性アルミニウム合金の開発」が開始された。今年は、その第一期の最終年度であり、今までの開発の経過と成果について報告する。
14:30〜15:15
軽金属材料によるモーターサイクルの軽量化
ヤマハ発動機(株) 材料技術部 材料技術開発グループ 進藤 孝明 氏
スポーツタイプのモーターサイクルは重量が商品性に大きく影響するため、軽量化のニーズが高い。従来はフレームが鋼管からアルミニウムダイカストに変わるなど鉄鋼材料からアルミニウムへの置き換えが主であったが、それに加えマグネシウムやチタンなど更に軽量化が可能な軽金属材料も採用が進んでいる。本講演では軽金属材料を用いたモーターサイクル部品の軽量化についてチタンコンロッド、アルミタンク、マグネシウムホイールなどの最新の事例も含め紹介する。
15:15〜16:00
鉄道車両構体の軽量化に資するマグネシウム合金押出材の開発
三協立山(株) 三協マテリアル社 技術開発統括室 製品技術部 部長 清水 和紀 氏
鉄道車両等の輸送機器の更なる軽量化を達成する一手段として、マグネシウム押出材の構造部材への適用が期待されている。押出加工法は、複雑な断面形状を有する長尺材を一度の成形工程で製造できる特長を活かし、アルミニウム押出材では、建材や新幹線の構造部材として広く採用されているものの、マグネシウム押出材の構造部材への採用実績はほとんど無いのが現状である。 本講演では、マグネシウム押出材の構造部材への適用実現に向け、おもに高速鉄道車両構体への実用化を目指して進められている近年の技術開発の一端と、今後の技術課題について紹介する。
ロボットシンポジウム2019名古屋
仲間にする、仲間になるAI・ロボット
共催:ロボットシンポジウム2019名古屋実行委員会
10:20〜11:50
【基調講演】AI・ロボットとの共生社会のあり方を問う!
大阪大学大学院 工学研究科 教授 浅田 稔 氏
近年,深層学習に代表されるAIやロボットの興隆が顕著である.本講演では,深層学習の最近の成果や傾向を紹介し,その限界と課題を指摘する.その上で,共生社会で活躍が期待される機能を追求する.超高齢社会の日本において,必要とされる生活支援機能のうち,物理的な支援に加え,心的支援,すなわちコミュニケーションの課題に触れ,人間に対して,表層的な共感行動ではなく,真に共感可能なロボットの条件を探る.そして,人工物がモラルや倫理を持てる条件,さらには法制度の課題にも触れ,未来社会を検討する.
13:00〜14:00
共生インタラクション研究が導く人間とAIの新しい社会
名古屋大学大学院 情報学研究科 教授 間瀬 健二 氏
ウェアラブル・ユビキタスコンピューティングなどのIoTとAI,ロボット技術の進展により,情報環境が知能化し,人間の能力拡張がますます進んでいきます.そのなかで環境知能と拡張された人間が共存する新しい共生社会のインタラクションデザインの研究が重要となっています.本項では,JST CRESTの共生インタラクション研究領域の概要紹介と,講演者がこれまで進めてきた,ウエアラブルコンピューティングとe-コーチング,介護支援などの共生インタラクションの研究事例を紹介します.
14:00〜15:00
自動運転技術の民主化
オープンソースが開く次世代モビリティサービスの世界
(株)ティアフォー 代表取締役 武田 一哉 氏
大学を中心に開発された自動運転の共通基盤ソフトウエア「Autoware」は、誰でも入手・改変することができるオープンソースの形で世界中に配布され、自動運転システムの開発や実験に活用されている。名古屋大学発のベンチャーである株式会社ティアフォー社は、Autowareの開発・普及を通じて「誰もがサービスとしての移動の利便を提供・享受可能な社会」を実現することを目指している。講演では、ティアフォー社とAutowareを紹介するとともに、自動運転の将来を展望する。
15:00〜16:00
ロボット競技会を通じた技術力の革新的な加速
人とロボットが協働する世界の実現に向けて
玉川大学 学術研究所先端知能・ロボット研究センター 教授 岡田 浩之 氏
ロボカップやDARPAグランドチャレンジのみならず,ロボット競技を通じて技術の革新を図る試みが企画されている.研究室での実験と異なり,確実性やリアルタイム性がより求められる競技会はロボット技術の社会実装という観点からも重要な取組である.本講演では,2017夏に名古屋市で開催されたロボカップ世界大会から2020年10月に愛知県で開催が予定されているWorld Robot Summit2020までの一連の取り組を俯瞰することで,人とロボットが協働する未来の社会の可能性を考えたい.
フロンティア21 エレクトロニクスショー2019
クルマの知能化(自動運転)講演会1 自動運転が創る新たなビジネスチャンス
共催:中部エレクトロニクス振興会
インテル(株)事業開発・政策推進
ダイレクター 名古屋大学 未来社会創造機構
客員准教授 野辺 継男 氏
2010年以降、IoTの急激な発達により技術とビジネスの成長原理が根本的に変わりました。CASEはその代表例であり、今後世界中であらゆる移動体をクラウド上で連携させるMaaSに発達し、莫大なビジネスチャンスを生みます。そうしたお話しをさせて頂きます。
フロンティア21 エレクトロニクスショー2019
クルマの知能化(自動運転)講演会2 将来モビリティシステムの動向とデンソーの取り組み
共催:中部エレクトロニクス振興会
(株) デンソー 技術開発センター 常務役員 隈部 肇 氏
自動運転、MaaSといった先進モビリティの市場導入が加速して来ています。これらをより安心・安全かつ快適なものにするためには、多くの高度な技術を開発・手の内化する必要があります。本講演では、デンソーの取り組みについて報告させて頂きます。
フロンティア21 エレクトロニクスショー2019
クルマの電動化講演会 電動車の歩みと今後の課題
共催:中部エレクトロニクス振興会
アイシン精機(株) エグゼクティブアドバイザー 安部 静生 氏
自動車は電動化・知能化・情報化等、100年に一度の変革の時代を迎えています。2050年を視野に入れるとPHEV・BEV等の電動車導入が急がれます。
今回の講演では、HEVの展開の歴史とその技術を応用した次世代電動車開発の状況、新たな課題に対する取り組みについて紹介します。
フロンティア21 エレクトロニクスショー2019
共同研究報告 鉛フリー化における錫ウィスカの溶断特性に関する検討
共催:中部エレクトロニクス振興会
中部エレクトロニクス振興会 技術委員会 第4分科会
電子機器の鉛フリー化では、錫めっきやはんだから発生する、導電性の針状結晶“錫ウィスカ”による電極間の短絡が問題となっています。錫ウィスカの溶断特性を調べることで、錫ウィスカが原因で発生する不具合について検討した内容を報告します。
フロンティア21 エレクトロニクスショー2019
技術セミナー パナソニックCNS社における熱設計強化の取組み
共催:中部エレクトロニクス振興会
パナソニック(株) コネクティッドソリューションズ社 イノベーションセンター
アクチュエーション事業統括部 設計ソリューション開発部 部長 岩田 進裕 氏
1990年後半から設計現場から必要とされるCFDを目指して取組んできた結果、多くの事業部で設計プロセスに定着し、更なる熱設計の対応力強化を目的に発熱量測定、熱デバイス開発などにも取り組んでいます。また、商品課題をワンストップで解決することを目的に、堅牢・振動・音響・人体負荷・アンテナ・静電気・EMCなどにも対応を拡大しています。
産業技術総合研究所中部センター研究講演会
第T部 産総研・中部センターの最近の成果
共催:産業技術総合研究所中部センター
10:20〜10:40
調査研究 モビリティの電動化をリードする材料技術について
上席イノベーションコーディネータ 飯田 康夫 氏
世界中で高まるモビリティ電動化の機運により、自動車業界は100年に一度の転換期を迎えているといわれ、その影響は自動車メーカーにとどまらず、部品メーカーや材料メーカーなど広範囲に及ぶことが予想されています。産総研中部センターでは、我が国の自動車産業の中心地にある研究拠点として、2030年を目途に電動化に必要とされる電池などの部材や、それらを実現するための材料研究にまで踏み込んだ調査を実施しました。自動車関連企業へのインタビューや各種のロードマップや調査報告の比較検討などを通して明らかとなったモビリティの将来像を材料技術の観点から紹介します。
10:40〜11:00
講演 パワーモジュール用高熱伝導窒化ケイ素メタライズ基板の開発並びに信頼性評価技術の開発
構造材料研究部門 組織制御グループ長 日向 秀樹 氏
近年、パワーモジュールの高出力化、高温動作化に伴い、優れた放熱性と機械特性を併せ持つセラミック放熱基板が求められるようになってきました。産総研・構造材料研究部門では、170 Wm-1K-1を超える高い熱伝導率を持つ窒化ケイ素材料の開発にも成功し、本材料系のパワーモジュール用放熱基板への展開を行なってきました。本講演では、各種のセラミック基板の特性を比較するとともに、開発窒化ケイ素の微細構造、熱的・機械的特性を紹介します。また、次世代のパワーモジュールにセラミック回路基板を活用する際の信頼性評価技術、それに基づく部品の苛酷環境下での劣化・損傷機構についても紹介します。
11:00〜11:15
講演 多種多様な規則性メソポーラス材料の合成に向けて
無機機能材料研究部門 物質変換材料グループ長 木村 辰雄 氏
高表面積を示す多孔質材料の一つであるメソポーラス材料の産業応用の拡大には、材料表面を親水性にするなど、表面特性の多様化が重要です。その実現に向けて、有機架橋ホスホン酸化合物と金属源との反応を利用した独自の組成設計技術の開発に取り組んでいます。本講演では、有機架橋ホスホン酸化合物の反応性を連続的に制御する方法を紹介します。特定の金属塩化物との組み合わせに対して、これまで困難であった組成でも規則性メソポーラス材料が合成できることを見出しました。メソポーラス材料の細孔表面の性質に関する設計自由度を大きく向上させる組成設計技術として更に発展させたいと考えています。
11:15〜11:30
講演 超高変換効率の実現に向けたプロトン導電性セラミック燃料電池の開発
無機機能材料研究部門 機能集積化技術グループ 島田 寛之 氏
次世代電源として高いエネルギー変換効率が期待されているプロトン伝導性セラミックスに関して、産総研で開発した新規焼結技術等を活用した発電セル製造技術を紹介します。
11:30〜11:50
講演 フルカラーGaN指向性マイクロLEDの実現に向けて
窒化物半導体先進デバイスオープンイノベーションラボラトリ GaN光デバイスチーム長 王 学論 氏
マイクロLEDディスプレイは液晶・有機ELに取って代わる次世代のウェアラブル型・携帯型情報端末のための低消費電力・高輝度・高解像度のディスプレイとして期待されています。しかしながら、現状の液晶・有機ELの性能を超えるマイクロLEDディスプレイの実現のためには、LEDチップサイズの縮小に伴う発光効率低下やGaN赤色LEDの高効率化、高速・低コスト実装などの様々な課題の解決が必要です。本講演では、高効率・高輝度・高解像度のマイクルLEDディスプレイの実現に向けての課題を説明するとともに、我々が実現を目指しているGaN指向性マイクロLEDについて紹介します。
11:50〜12:10
講演 新規Fe−X系軟磁性材料の開発
磁性粉末冶金研究センター ソフト磁性材料チーム 今岡 伸嘉 氏
急成長が続く次世代自動車用の駆動モータには、更なる高効率化が求められています。駆動モータ用ステータ部材は、絶縁処理した電磁鋼板を多数積層して初めて低損失が可能になるため、製造工程コストが高い問題点を抱えています。そこで私たちは、様々な金属元素を含むナノフェライト粒子を湿式合成し、続いて水素雰囲気中で還元して、固めるだけで部材製造が可能な、高磁化で低保磁力の新しいFe-X系軟磁性粉体を開発しました。
産業技術総合研究所中部センター研究講演会
第U部 これまで見えなかった構造や現象からの先端材料開発
〜焼結現象の解明・精密構造解析〜
共催:産業技術総合研究所中部センター
13:30〜14:20
特別講演 私の材料研究50年
名城大学大学院 理工学研究科 終身教授/産総研名誉フェロー 飯島 澄男 氏
演者は1963年に大学院理学部物理学科に入学し、以来50年間、一貫して結晶構造に関連する材料研究に関わってきた。その過程で1991年にカーボンナノチューブを発見する幸運に恵まれた。講演では材料研究のモチベーションや戦略について演者の研究を例にとり紹介する。材料研究の基本は物質を構成する原子配列―結晶構造を知ることから始まる。通常の手段はX線や中性子線回析法であるが、結晶の局部構造、表面構造、結晶欠陥、ナノ結晶を調べるためには電子線回折法や高分解能電子顕微鏡法が有効であり、演者の研究手段でもある。電子顕微鏡の電子光学技術は現在も発展しており、分解能の向上は著しい。一例としてLIBs電極材料として最近注目されているNb‐Tiを含む3元系酸化物についてEDS観察により明らかにされた金属部原子の秩序構造について報告したい。50年前の電子顕微鏡技術では解決できなかった課題であった。
材料研究の新奇性は面白い(純粋科学として又は産業応用の可能性)材料を見つけることがポイントになる。ナノ結晶の研究はひとつのアプローチであろう。カーボンナノチューブの発見は、炭素材料の微細化やユニークなチューブ状構造の創製により、従来の炭素材料より優れた特性の発現することを実証することになった。その意味において、カーボンナノチューブは面白い材料である。しかしながら、産業応用という観点からは、まだまだ越えるべきハードルは高い。この課題解決として演者自身の研究も紹介したい。
14:20〜14:35
講演 電子顕微鏡法による原子レベルのナノ構造解析
無機機能材料研究部門 テーラードリキッド集積グループ 劉 崢 氏
産総研中部センター昨年度に導入された高性能原子分解能走査透過型電子顕微鏡について紹介いたします。ダブル球面収差補正機能付き原子分解能電子顕微鏡(Cs補正STEM、Cs補正TEM)を用いた材料研究のための実験技術や解析技術を概説します。また今年度導入する予定のガス環境ホルダーについても紹介します。
14:35〜14:50
講演 環境に優しいナノカプセルの開発とその構造解析への期待
無機機能材料研究部門 粒子機能化技術グループ長 永田 夫久江 氏
生分解性材料のみで構成されるナノカプセルを開発しました。近年、微細なプラスチックによる環境汚染が問題となっていますが、開発したナノカプセルは、歯や骨の成分であるリン酸カルシウムセラミックスと生分解性ポリマーからできているため、環境に優しいナノカプセルです。本発表では、このナノカプセルの構造と優れた徐放性能を紹介します。
14:50〜15:05
講演 口臭センサに向けた酸化セリウムナノ粒子の開発
無機機能材料研究部門 電子セラミックスグループ 伊藤 敏雄 氏
CeO2は高い酸素拡散係数を有します。含硫黄系等の還元性ガスがCeO2表面で燃焼して生成した酸素空孔が表面で蓄積することなくバルク全体へ拡散するため、抵抗変化型のガスセンサとして用いられ、口臭測定等へ応用されています。本発表では、CeO2のH2S応答メカニズムを明らかにするため、交流インピーダンス測定結果によるバルク・粒界・電極界面の電気抵抗成分が与えるセンサ応答への影響とTEM観察結果を照らし合わせて評価した研究について紹介します。
15:05〜15:20
講演 化学反応を利用したセラミックスの革新的低温焼結技術の開発
無機機能材料研究部門 機能集積化技術グループ 山口 祐貴 氏
部素材のマルチマテリアル化に向け、セラミックス等の焼結や接合の低温化を目指し、界面での化学反応を制御する焼結技術とそれによるセラミックスデバイスの構造制御技術への活用について紹介します。
15:20〜15:35
講演 ナノコンポジット磁石の三次元構造解析
磁性粉末冶金研究センター ハード磁性材料チーム 細川 明秀 氏
ナノコンポジット磁石はその名の通りハード磁性相(例:Nd2Fe14B相などの永久磁石に適した化合物)の中に飽和磁化の高いナノサイズのソフト磁性相粒子(例:α-Feなどの飽和磁化が高い物質)の二相からなる複合材料で、両相の利点を複合させる事で極めて高い特性が期待されているものの、従来材であるNd2Fe14B単相磁石を超えたという例はありません。最近の研究によれば、高特性を引き出すためにはハード相の結晶方位を揃えるだけでなく、ソフト相粒子の形状制御も同時に行う必要があると言われており、電子顕微鏡等を利用したナノ組織観察は重要です。本発表ではFIB-SEMを活用してソフト磁性相粒子の三次元可視化と形状情報の定量解析を行った例を報告します。